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扉の先98/イトーキ、新ビジョン表明し物流含む専門領域強化

投稿日時
2025/08/07 15:39
更新日時
2025/08/07 15:42

保管量増、コスト減の新シャトル式倉庫も

「『専門領域の"働く"と"未来"を切り拓く』を新ビジョンに掲げました。各専門領域における我々にしかできないことを追求したい」。イトーキの常務執行役員設備機器事業本部・中村元紀本部長は7月3日の会見でそう力を込めた。

それぞれの専門領域、とは同社の設備機器・パブリック事業が手がける事業を指す。具体的には原子力施設やシェルターに使う堅牢な特殊扉や薬剤向けのピッキングシステム、美術館や博物館向けの展示ケース、そしてシャトル式自動倉庫などの物流機器だ。オフィス家具のイメージが強いが、直近の売上の約25%をこれらの事業が占める。新ビジョンを元にこの売上を「拡大していくのが我々の使命」(中村氏)とする。

システマストリーマーで水平方向の搬送を担うシャトル台車(ドーリー)

同社の創業は1890年。時代の流れに沿い様々な専門領域で製品を開発してきた。例えば先述の特殊扉は金融機関向けの金庫扉が源流だ。他にもホチキスやタイプライターを製造する中で、1960年にはオフィス文書を管理するファイリングシステムを開発。その文書を自動で取り出すニーズから、72年に自動倉庫システムが生まれた。これが高能力のシャトル式自動倉庫として知られる「システマストリーマーSAS」へとつながっていった。

システマストリーマーは垂直方向の昇降移載機と水平方向にワークを運ぶ台車「ドーリー」で構成される。その特長を「まずは超高速処理能力」と設備機器事業本部設備機器営業統括部システム機器販売部の平本淳部長は語る。「業界最速の入出庫を実現しており、特に垂直搬送機は加速度が8.6m/2sで下降時は自由落下に近い。そうした高速運用でも加減速を適切にコントロールし商品を安定制御する」。他にも荷姿が自由でレイアウトが柔軟に組める点もメリットに挙げる。

いわゆる「物流の2030年問題」で30年には国内で34.1%の輸送力が不足すると危ぶまれる。さらにコロナ禍の混乱を教訓に様々な業界で在庫を増やす動きがあり、保管の重要性は高まる方向だ。トラックの荷待ちを減らすため高速荷揃えも求められており、平本部長は現状を「輸送力頼みの物流形態から在庫機能と搬送機能の融合による全体最適へのシフトが求められている」と分析する。この状況を受け、同社は26年に新たなシャトル式自動倉庫「X-NR(プロジェクトコード)」を投入する。

同モデルは既存の「システマストリーマーSAS-R」の荷捌き能力を踏襲。ドーリーに昇降機能を追加し、上下方向へのアクセスを可能にした。例えば下5段は従来のドーリー、上5段だけ新型ドーリーに置き換えれば能力は下がるが台車の数を減らせる。ドーリーは従来比100㍉高さが低く薄型の荷を扱うことができる。従来比で保管量は10%増え、コストは20%減少。導入が難しかった中規模施設も視野に入るようになる。

マイナス25℃の冷凍環境における試験の模様も公開された。冷凍環境ではタイヤがスリップし、エンコーダーで正確な位置を測れないため多くのシャトル式自動倉庫がスピードを落として運用される。だが同社の「システマストリーマーSAS-C」はタイミングベルトで駆動するため冷凍環境でも能力が落ちず「冷凍環境の荷捌きでは業界最速」(平本部長)という。

冷凍倉庫は全国で需要がひっ迫し、都内では築40年超の物件が4割以上にのぼる。イトーキはこうしたニーズを捉え物流向けの事業をさらに成長させる構えだ。

扉の先02.jpg

中央が中村元紀本部長、右端が平本淳部長



(日本物流新聞2025年8月10日号掲載)