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ファザーマシン2/Chapter62

投稿日時
2025/12/24 15:13
更新日時
2025/12/24 15:16

オフロード車モタード化 【前編】

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。今回は「KTM125EXCモタード化 前編」をお送りします!

さて、せっかく安く買えたKTM125EXCでしたが、調子に乗ってぶん回してしまった結果――まさかの焼付き。混合給油のオイルが薄かったのが原因のひとつと考えられます。完全に自業自得です...。
この時点で、すでに2スト(2ストローク)に対する苦手意識が芽生えはじめていました。ただ、無事にエンジンの復活を遂げたKTMを前に、落ち込んでばかりもいられません。気を取り直して、当初予定していたモタード化企画を進めることにしました!

KTMのフロント回り。加工には苦労しました

その前に、モタードについて軽く説明しておきます。モタードとはオフロードバイクをベースとしたオンロード仕様のバイクで、前後のタイヤを小径化し、オンロード用タイヤに変えるというカスタムが定番です。

まずは現在のバイクの状態を測定。今回はホイールをまるごと交換するというガチ改造なので、元のスポークホイール、カラー、フロントフォーク、スイングアーム、ブレーキディスクのオフセット位置など、とにかく細かく寸法取りを行います。

そして、そのデータを元に、流用できそうなホイールをひたすら探す日々。条件としては、

オンロードタイヤであること、フロントフォークとスイングアームの幅に収まること、前後ディスクブレーキ仕様であること

その結果、条件にピッタリ当てはまったのが、カワサキのNinja250のホイールでした! 台数も多く、中古価格も安いという理由で即採用決定。

早速Ninjaのホイールを入手し、各部を測定。問題なくKTMに取り付くことを確認できたので、まずはフロント側から作業開始です。

ホイールの中に入るディスタンスカラーを、いつもの卓上旋盤で製作。これは、ホイールを固定する際にベアリングではなくカラーに荷重がかかるようにするための大事なパーツ。

加えて、ホイールとフロントフォークの間に入るカラーも寸法に合わせて追加工&製作しました。

NinjaホイールがKTMの車体の中心に取り付けられたことを確認して、ひと安心……したのも束の間、ここで問題発生。確かにホイール自体は収まったのですが、キャリパーが物理的に干渉してしまうことが判明しました。

■多難な足回りカスタム

この先のカスタム選択肢はふたつ。

・ホイール側のディスク取り付け座面を削ってオフセットする

・フロントフォークを固定するトップブリッジ&アンダーブラケットを削り出す

当然ながら、前者で解決したいところですがうちにはホイールを削れるほどの大型旋盤なんてありません。そこでイワタツールの岩田社長に連絡! 事情を説明すると、旋盤を貸していただけることに。

数年ぶりの本気の汎用旋盤作業、しかもワークはバイクのホイールという超変則形状。どこを掴めばいいのかもわからず、少し削るだけなのに手汗ビッショリでした。

続いては、NinjaのホイールにKTMのブレーキディスクを取り付けるためのスペーサー製作です。まずは3Dプリンターで試作し、干渉や取り付け位置を確認。卓上旋盤で製作します。

が、ここでまた問題が。大径ワークを卓上旋盤で掴むためのチャック爪がない! 仕方なく、光造形3Dプリンター(レジン)でチャックの爪を試作。結果ワークがぶっ飛びレジン爪も当然粉々。

早々に諦めて、ケロさんのCNCフライスで鋼材からチャックの爪を削り出し、

なんとかスペーサーが完成! こうして、フロントのモタード化がようやく完了しました。

執筆のためにあらためて過去の撮影動画を見返してみたら、やたら髪が伸びていて、異様に時間がかかっていたことを思い出しました。あまりの大変さに、途中で心が折れかかったことは今でも鮮明に覚えています。

次回もお楽しみに!



(日本物流新聞20251225日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ

工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は13.5万人(2025年12月24日現在)