連載
ファザーマシン2/Chapter61
- 投稿日時
- 2025/12/10 13:59
- 更新日時
- 2025/12/10 14:07
衝撃の2ストローク体験 (中編)
みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。
今回は、「KTM125EXC 中編」をお送りします!
購入してまだ2週間ほどしか経っていないというのに、キックが完全にロック。まずは原因を追究するべく工房へと運ぶことにしました。幸い125ccの単気筒ということでエンジンはとても軽く、一人でもサクッと下ろせました。

エンジンを開けるとひどい状況に…
一応、専用のマニュアルはすでに購入済みで、バラし方も予習していたのでこのあたりはスムーズなはず?…でした。
しかし、シリンダーの隙間からピストンの側面を覗いてみると、そこには見た瞬間にダメだとわかる深い縦筋が…。これは完全にダメだと思い、シリンダーヘッドを外し、ピストンも外します。
しかも、まだ何か引っかかる感触が残っている。さらに確認すると、なんとコンロッドも焼き付いていました。はい、重症です。まだ買って2週間です!
この時点で心は折れかけていましたが、コンロッドの詳しい状況を見るためにクランクケースを半分に分割します。そして、次のクランクシャフトを抜く工程で大事件が起こります。クランクの回転方向で自然に緩まないようにするため、逆ねじだったんです。
しかも、単純に回してもから回りしちゃうんで、回り止めのためにクランクケース端のねじ穴にボルトを入れて思いっきり力を入れて…次の瞬間、バキッ‼
床に落ちる破片。クランクケースが割れました。ダメな方向に…完全な二次災害というか、無知って本当に怖い。身をもって学びました。マニュアルにはちゃんと逆ねじを記載されていました。小さめに(泣)。
最終的には近所の溶接屋さんに溶接してもらい、なんとかなりましたが、肝心のコンロッドはひん曲がってニードルベアリングもズタボロ。クランクシャフト側にも傷がついていたので交換です。
しかし! そのKTMは1999年製、主要パーツはすでに廃盤になっており手に入りません。新品が手に入ったのはサードパーティー製のピストンのみ。シリンダー側に傷が少なかったのは、不幸中の幸いでした。
さて、クランクシャフトですが、某オークションにもなく、途方に暮れます。諦めかけていた頃、ふとクランクシャフトの型番でグーグル検索をしてみました。すると、海外のeBayというサイトがヒット!
全く使ったことのないサイトだったので不安でしたが、奇跡的に状態の良いものを海外から取り寄せることに成功します。※なお余談ですが、最近はこういった手口の詐欺サイトすごく増えてますので、基本的に知らないサイトは使わない方がいいです。
「部品は整った。あとは元通りに組むだけ」
バラバラになった部品を見つめ、静かにそうつぶやき私はいつもお世話になっているバイク屋さんへ駆け込みました。もうこれ以上壊したくなかったんです(笑)。
2週間後、バイク屋さんから連絡があり、綺麗に組みあがったエンジンを受け取ります。
深々と頭を下げ、KTMのフレームのある工房へ運び、いよいよ運命のキック。
ぶおおおおおおおおん!
まるで産声をあげたような爆音が住宅街に響き渡り、マフラーから油の混じった復活の狼煙が上がりました。
次回もお楽しみに!
(日本物流新聞2025年12月10日号掲載)
工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は13.5万人(2025年12月10日現在)