連載
ファザーマシン2/Chapter59
- 投稿日時
- 2025/11/10 15:36
- 更新日時
- 2025/11/10 15:40
夢のマルチタスクマシン導入!
みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。
今回は、「何でもできるマシン?編」をお送りします!

こちらが在りし日のSnapmaker2.0 A350です
YouTubeを始めてFFF式3Dプリンターに初めて触れ、次に光造形の3Dプリンターにも触れ、さらに卓上旋盤まで購入した頃、まだ何か物足りなさを感じていました。
そんなとき、ネットで面白い機械を見つけます。その名も 「Snapmaker」。2017年に初登場し、モジュールを交換するだけで3Dプリント・レーザー刻印・CNC切削が行える、夢のようなマルチマシン。まさに「全部入り」の機械!
当時、新しくなったSnapmaker2.0 A350を妻に頼み込んで購入。これはシリーズ中で一番大きなモデルで、造形サイズは 350ミリ×350ミリ×320ミリ。クラウドファンディングでなんと8億円以上集めたそうで、完成度にもかなり期待していました。
定価は約30万円ほどでしたが、ちょうどクラファンのタイミングで運よく半額程度でゲットできました。3Dプリント、レーザー刻印、CNC切削の3機能を切り替えながら使えるということで、YouTube的にも映えるし、何より会社員時代に培ったマシニングのノウハウをCNCで活かせるという点に心惹かれました。
注文から数カ月、実際に届いた本体は、グレーのアルマイト処理が美しいアルミフレームで高級感があり、コントローラーはAndroidベースのタッチパネル。専用ソフトもかなり作り込まれていて、UIも洗練されていてとても使いやすそうな印象。中国の会社かつ製造も中国とのことなので、あまり期待はしていなかったのですが、素晴らしい品質でした。
しかし、実際に使ってみると…。まず、3機能の切替がめちゃくちゃ大変。主軸モジュールを交換するだけでなく、ケーブル類やベッドも交換する必要があり、そのねじの数、なんと22個くらい(笑)。軽い気持ちで「3Dプリントして、次はレーザーで刻印しよう♪」みたいな使い方はまったくできません!
■実働2年でお別れ
さらに、A350はサイズが大きすぎたせいか、冬場はベッドがなかなか温まらず、FFF方式での造形にかなり苦戦。エンクロージャーもついておらず、オープンな筐体で寒さには弱かった。
レーザー刻印も出力が1.6Wしかなく、木材3ミリが限界。しかも金属には非対応で使いどころがちょっと難しい。CNCも最大回転数は1万2000回転の50W。ER11コレットで一応削れるけど、剛性が足りず、真鍮を削ってみた時には家中に轟音が響き渡り、これは厳しいと痛感。このとき、「A250にしておけばマシだったかも…」と思いました。
もちろん、Snapmaker2.0はコンセプト・デザイン・UI含めてすごく気に入っていたし、動画にはしなかったものの、自作でエンクロージャーを作ったり、カスタムパーツを設計して販売したりと、結構活用していました。
とはいえ、結果的にどの機能も中途半端で、私の製造スタイルとはマッチしませんでした。
2年ほど使った後、最終的には手放すことに。その頃ちょうど、40Wレーザーモジュールや200Wスピンドルモジュールなども発表されましたが、根本的な機械剛性が足りないため、導入は見送りました。
ここで学んだのは、「何でもできるは、何にもできないと同義かもしれない」、そして「大は小を兼ねないということ」。
そんな苦い経験も、今となってはいい学びです。今後もこういったハードレビュー的な体験談も交えつつ、皆さんと一緒に成長していければと思います!
次回もお楽しみに!
(日本物流新聞2025年11月10日号掲載)
工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ
工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は13.5万人(2025年11月10日現在)