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ファザーマシン2/Chapter54

投稿日時
2025/08/25 09:19
更新日時
2025/08/25 09:22

切削工具の製造現場 【その2】

みなさん、こんにちは。工業系YouTubeチャンネル、なんとか重工のとんこつです。

今回は「切削工具の製造現場その2」をお送りします。

工具の話が止まらないイワタツール・岩田昌尚社長

前回に引き続き、イワタツールさんの工場を見学させていただいたときのお話です。普段私たちが機械加工で当たり前のように使用している切削工具ですが、製造の現場を見てみると、その裏側は想像以上に奥深いものでした。

まず工程を追ってみると、焼き入れにより硬度が上がったハイスは真っ黒な状態になっていました。HRCは60を超え、叩くと「キンッ」と甲高い音が響き渡ります。

次はセンタレス工程。黒くなった円筒部を研削し、真円度や寸法精度を整えていきます。その後はいよいよ刃付け工程。ここで使用するのは6軸の工具研削盤で、工場内にはスイス・ドイツ・日本製の研削盤が並び、必要な精度や形状に応じて使い分けているそうです。

多くの機械はローダーやファナック製ロボットと一体化しており、工具研削盤ならではの砥石用バランサーや砥石成型機など、普通の工場ではあまり見かけない設備も数多くありました。

一方、超硬工具の場合は焼き入れ工程をすっ飛ばして、いきなり刃付け工程に入るとのこと。私はただの丸棒状態の超硬を初めて見たので、とても新鮮でした。

加工後は形状や面粗度を測定し、評価を繰り返しながら完成度を高めていきます。さらに新工具の開発ともなると、マシニングなどの加工機まで必要になるそうで、現場を支えている工具メーカーの大変さを改めて感じました。

やはり切削工具の製造精度は非常に厳しく、工場全体に空調が行きわたっているのはもちろん、精密空調を導入した部屋まで用意されています。検査体制も人による目視検査や梱包まで徹底されていて、「これは相当コストがかかっているな…」という印象でした。

■手研ぎドリルの精度を検証

そしてこの日は、イワタツールチャンネル用の動画も撮影。企画は私とんこつが手研ぎしたドリルを、ドイツ・ZOLLER社の測定器で測定してみよう、というものです。実際にそのドリルでワークに穴をあけたときは、穴もちゃんとあいたし切粉も綺麗に2つ出ていたので「よし!」と思ったのですが…測定結果は微妙でした(笑)。

通常ドリルの先端角は118度ですが、私がフリーハンドで研いだものはなんと112度。穴はあけられても、やはり手研ぎで角度をビシッと出すのは難しいということを痛感しました。ちなみにドリルで本当に重要なのは先端角よりリップハイトです。

今回のコラボでわかったのは、工具の製造工程の奥深さはもちろんのこと、岩田昌尚社長がとにかく工具に詳しいということ! 工具の話になると止まらないほどで、新工具の開発も社長自ら主体となって進めているそうで驚きました。

ちょうどイワタツールさんもYouTubeに力を入れ始めたいと考えていたタイミングだったようで、そのままイワタツールチャンネル公開用の動画まで撮影させていただきました。

ものづくりの裏側と、YouTubeの広がりを同時に体験できた、とても思い出深いコラボになりました。次回もお楽しみに!



(日本物流新聞2025年8月25日号掲載)

工業系YouTuber【なんとか重工】とんこつ

工業系YouTubeチャンネル【なんとか重工】を、相方のケロと2人で運営。旋盤やフライス、マシニングに溶接機、3Dプリンターなどを活用して自分たちが作りたいモノを作るチャンネル。登録者数は13.4万人(2025年8月25日現在)