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【第18回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識 

投稿日時
2025/06/25 09:34
更新日時
2025/06/25 09:38

板金加工

成形加工全般について前々回ひとくさり述べたあと、成形加工の個別例として前回プレス加工を取り上げました。今回はプレス加工の親戚的「板金加工」をクローズアップ!

と、勢いよく綴ったものの、当欄ではモノづくりの基礎を豆知識など混ぜながら「読んで分かったつもり」になってもらうことを狙っています。「分かったつもり」になるのは大事だからです。ただ、しっかり学びたい方は当欄をあてにせず、教科書、専門書で体系的に知識を身につけてください。

前振りが長くなりましたが、板金加工は薄い金属の板を切断したり曲げたりするモノづくりだと、当欄の性格上、まずは軽く簡単に言っておきます。

板金加工はハンドツールを主体とする手板金もあれば機械式もあるわけですが、筆者の実体験で言えば、軽い衝突事故でできたクルマボディの凹みを直すのに、ディーラーから「ボディの一部丸ごと交換」を勧められショックでした。曰く「こういうのを上手く直せる職人は今やいません。いても逆に高価ですよ」。いわゆる手板金は、職人不足もあり、工業の世界でも発注機会が減っているのではないでしょうか。

一方で機械式(機械板金)はシャーリング、レーザー、タレットパンチプレス、プレスブレーキなどを使い分けて切断、抜き、曲げ加工などを効率よく行います。バリ取り機や溶接機、測定・検査機器なども板金業に欠かせません。機械板金といってもグラインダー等の作業工具を使うシーンも多いはずです。

板金業の領域はおよそ金属7㍉厚までとされますが、ひと口にそういっても薄板(3㍉程度まで)、中厚板(3~6mm)、厚板(6mm以上)で似て非なるモノづくりのプロセス・ノウハウがあります。また高層建造物などに使う厚さ6mm以上の重量鉄骨だと使う機械が大きく変わります。ゆえに職種は精密板金業、製缶業、鉄骨業などと分けられます。ただ時代感覚を交えると、薄板から厚板まで高精度に切断できるレーザー加工機などが次々出て、今後はボーダーを超えて事業を拡げる工場も増えそうです。

板金加工はやっかいな面も多いようです。曲げ加工ひとつとっても、金属板は曲げると戻り、曲げると伸びて、曲げ順を間違うとおしゃかです。バリ取りや溶接、組立などでも仕上がりに違いが出てしまいがち。市場や街の評判もシビアに変わります。


板金加工機市場


板金加工に欠かせない機械のシェアは国内でA社が圧倒的です。機械板金業をフルに支える存在と言えるでしょう。ただその一方でさまざまな提案が、さまざまな企業プレーヤーから出ているのも事実。メーカーの異なる各マシンの際立った特長をつなげ「全体最適」を導くソリューションも目につき、こうした取り組みが機械板金のさらなる進化を促すものと期待されます。

(日本物流新聞2025年6月25日号掲載)