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扉の先106/リアルマンロボティクス、段階から「現場の戦力」へ

投稿日時
2026/02/13 09:02
更新日時
2026/02/13 09:06

「止まらない現場」向けヒューマノイド

人手不足が深刻化するなか、ロボットに求められる役割は「単機能の自動化装置」から「人の作業を代替・補完する汎用的な存在」へと変化しつつある。こうした潮流の中で存在感を高めているのが、中国発のロボットメーカー・RealmanRobotics(リアルマンロボティクス)だ。

実用性を重視したRealmanRoboticsのヒューマノイド

同社はヒューマノイドロボットを「未来の象徴的存在」としてではなく、「現場で使える労働力」として位置づける。

「当社のヒューマノイドは二足歩行や外観のリアリティよりも、上半身の作業性能、特にマニピュレーション技術を重視し、産業用途への適用を優先してきた。二足歩行は見た目はいいが、安定感という部分でまだまだ信頼性に乏しい。当社は人と同じ形状の腕、手首、腰の動きなど可動域の広さを生かし、既存の作業環境を大きく変えずに導入できる」(同社日本法人・易峰社長)

同社のヒューマノイドは、複数自由度を持つ双腕構成と高精度なトルクセンサー、視覚センサーを組み合わせることで、人の作業動作を模倣・再現する。特筆すべきは、単なる動作再現にとどまらず、作業環境のばらつきへの対応力だ。

「日本の製造現場が求める『止まらない自動化』と親和性が高く、設備側をロボットに合わせて作り込むのではなく、ロボットが現場に歩み寄るという発想で開発を行っている」

同社は日本市場を、ヒューマノイド社会実装の重要な実証フィールドと位置づけている。多品種少量生産、高品質要求、熟練技能への依存度の高さといった日本特有の生産文化は、汎用作業能力を持つヒューマノイドの価値を最も発揮できる環境といえる。

加えて、日本のテックベンチャーとの連携も深めている。2024年創業のスタートアップ・フォースティードロボティクスとの戦略的提携だ。リアルマンの超軽量・高トルクのロボットアームと、フォースティードが開発する先進的VLA(大脳系AI)および人工意識FSR―ACを融合し、現場の用途や環境に適応する動作・知能一体型ロボティクスの実現を目指している。

■自律化させる「人工意識」とは

フォースティードロボティクスの技術的特徴は、従来のAIでは困難だった動的環境下での自律的な判断・行動を可能にする「人工意識」にある。

大脳系(価値判断・認識)、小脳系(運動学習・制御)、空間認知系(環境理解)の3領域を横断する独自のアーキテクチャにより、ロボットが好奇心に基づいてデータを収集し、継続的に学習・進化する仕組みを実現。事前にプログラムされていない状況でも、ロボット自らが最適な行動を選択できるようになる。

2社の連携は、単なるハードウェアとソフトウェアの組み合わせにとどまらない。リアルマンの「人の動きを模倣する」直感的な教示システムと、フォースティードの「経験から学び進化する」人工意識を統合することで、現場作業者がロボットの専門知識なしに作業を教え、ロボットがそれを自律的に最適化していくという未来が見える。

「日本の製造業では、完全自動化よりも『人の作業をどう置き換えるか』が課題になっている。現在は大学や研究機関やロボットSIerとの協業を通じて、実証導入を進めている段階だが、今後はロボットの単体の販売にとどまらず、アプリケーション開発や現場適合のノウハウ提供をも目指していく」

一方で、ヒューマノイドの本格普及には課題も多い。だが、世界のヒューマノイドに対する風向きは確実に変わりつつある。

易峰社長は、「欧米、中国におけるヒューマノイドの技術革新は目覚ましく、積極的に導入を進める企業が明らかに増えてきている。当社も北米や欧州の展示会に出展した際には、必ず商談に発展し、導入して頂くケースが増加している」と前を見据える。

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易峰社長

(日本物流新聞2026210日号掲載)