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扉の先104/足利技研、極小から大型部品の自動化を一貫提案
- 投稿日時
- 2025/12/24 15:31
- 更新日時
- 2025/12/24 15:33
現場力強化する多能工化
栃木県足利市を拠点とする足利技研は、オーダーメイドの産業用ロボットシステムを設計からティーチングまで一貫して手掛ける。1945年に工場で使うモーターの修理から創業し、それから自動制御盤の設計製作を開始。工程の最終段階となるためタイトな納期のしわ寄せを受けることが多く、解決のために先代が始めた省人化・自動化設備の製作を基に、約40年前からロボットのシステムインテグレーション事業を営んできた。ニーズを着実に捉えて、関東地域の自動化を支えてきた老舗だ。

装置に組み込む部品をマシニングセンタで内製する様子。同社の内製率は80%に及ぶ
当初は自動車業界が主なユーザーだったが、鉄鋼・建築、製紙業など幅広い業種、分野に対応する。最近では地盤改良工事の杭打ち部品自動化システムなど大きな案件も担った。
「特定の分野に絞らない分、手掛けるワークの形状や大きさも異なる。針のような極小のワークから160㌔に及ぶ鉄のリングの運搬までさまざま」(大野和俊社長・以下同)と、幅広い業種にオーダーメイドで、一貫体制で提案できるのが強み。ロボットハンドや治具は設計含め自社で作り、内製率は80%。「元々は外注していたが、ロボットハンドや治具は一品もの。不具合や直しがある度、時間を取られる。内製化で案件の進みも早く、穴や厚みの追加なども自社でやれる」。自社で機械加工を行うためマシニングセンタや旋盤へのワークの供給・排出が得意分野で、カメラを用いたバラ積みピッキング、AIによる外観検査にも力を入れる。NCの修理やカスタマイズも可能と柔軟な対応力もウリだ。
■多能工化で売上安定
「装置として年間20~30台を納品するのがベストなバランス」と売上額のためだけに数を追わない。営業職は置かず、声がかかったら大野社長自ら現場に赴き、検討するスタイルで案件を調整する。
従業員は17人と多くはない。「だからこそ多能工化に力を入れる」。メインの職域はあるが現場を積極的に見せて、組み立てや配線、ティーチングも担えるようにする。20代が6人、30代が1人と若手が多い中、社員の「やりたい」に耳を傾けながら育てる。作業場所が一カ所で、教えあえる環境も自発を促す。「広い職種・業種を担当する分、一人前までに10年かかる」というが急がずじっくり育成する。その足腰の強さで、案件数を無理に増やすことなく安定的に売り上げを伸ばしてきた。
最近ニーズが増えている現場は社員が数十人程の企業で、人が集まらず自動化の必要性に迫られているが資金面がハードル。「リースやレンタルなど、障壁を下げられる提案が出来れば自動化に踏み切れるはず」と模索する。
一番の目標は「続けていく」こと。「一度設備を導入すれば数十年は使う。修理などのサポートに責任をもって取り組むためには続けなければならない」と実直に話す。もともと祖業のモーター修理から制御盤の製作と時代に応じて柔軟に業態を変えてきた。変化をいとわず歴史を積み重ねていく。

大野和俊社長
(日本物流新聞2025年12月25日号掲載)