FOOMA JAPAN 2021開催

19分野680社超が出展
●会期:6月1日〜4日
●会場:Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
●主催:一般社団法人 日本食品機械工業会

【画像1】オークラ輸送機の「ジャブコンⅡシリーズ」は、冷凍ハンバーグのような未包装品を確実に整列搬送できる
【画像2】山善が提案するコンテナミキサーを使った自動化装置。着脱式粉体混合機として、少量多品種生産に対応する
【画像3】蔵王産業は食品工場のベルトコンベアを温水洗浄してバキュームする提案も展開中
【画像4】熱源近くの酷暑作業に最適な鎌倉製作所の「COOLEX―Multi」

アジア最大級「食の技術」の総合トレードショーである「FOOMA JAPAN 2021」(国際食品工業展/主催=〈一社〉日本食品機械工業会)が6月1日から4日間、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)全館で開かれる。

44回目のテーマは「発想力が食の未来を変えていく」。エンジニア・ロボット・IoT分野、衛生対策・管理分野など、全19分野に680社超が出展する。開幕を目前に控え、同展で提案予定の注目製品・技術を取り上げる。

融通の良い搬送ラインへ

省人、省力、省スペースに焦点

オークラ輸送機が提案に力を入れるのは、ステンレスコンベヤ「ジャブコンⅡシリーズ」だ。安全性とメンテナンス性を考慮しながら、分解しやすい構造を採用した。装置間を自在につなげる融通の良さも売り。ストレート、カーブ、傾斜などのバリエーションを用意した。

乗り移りコンベヤ、幅広ベルコンなど、新型モデルを組み込み、冷凍ハンバークのような未包装品を確実に整列搬送させるといったこともできる。高速転換機、段積み・段バラシ装置と組み合わせたコンテナ自動搬送ラインも提案する。

包装品向けでは、アルミコンベヤ「ベルコンミニⅢ」が威力を発揮する。例えば、ピロー包装されたアメを搬送する場合、上下反転コンベヤ、分岐・合流装置などを組み込み、自在な流れをつくるといったことも可能だ。

マルヤス機械は、搬送ラインや設備のトラブル発生時に自動復旧から原因究明まで可能なIoT機能を取り揃えた。効率アップのために、長時間にわたって連続稼働する工場があるものの、設備担当者の若年齢化や省人化でトラブル対応が難しくなっているためだ。

遠隔モニタリング、部品交換推奨時期のお知らせなど、予防・事後保全につながるメニューも用意。「市販品のIoT機器をいくつか組み合わせることで、実際の現場を想定した提案ができる」としている。

スナックや冷凍食品など包装された商品を、段ボール箱に縦方向に詰める。そういったことを可能にしたのが、イシダの製封函一体型オートケースパッカー「ACP―701」。1台で様々なサイズの箱・袋・袋詰めパターンに対応するだけでなく、生産する商品を操作画面で選択すれば、梱包箱によって異なる設定や調整を自動で行ってくれる。

段取り替えに要する時間は約90秒。多品種少量生産において、品種替えのロス時間を最小限に留め、ライン稼働率を上げられるというわけだ。パレットの積載効率を最大化させるような箱詰めに見直すことで、輸送コストやCO2排出量の削減を図れる。

攪拌投入やロールの搬送・昇降・反転ができる各種装置を取り揃える京町産業車輌は、「ぐるんパ」による投入作業の自動化・省力化を提案する。ボール容器の内容物を1900㍉の高さから投入する製品で、食品関係の工場全般に対応する。最大荷重30キログラムに設計した。そのほか、各機種のカスタマイズにも対応する。

寺岡精工は、ノントレー包装ライン、食品工場向け高速包装機ラインに代表されるパッケージソリューションを展開する一方、弁当・総菜などの食品向けにラベリングの効率化にも注力している。

ベンダーシステム向けの目玉製品としてアピールするフレキシブルラベラー「HC―800FL」は、台紙ごみゼロで環境にやさしいライナーレスラベラーを搭載した。自動貼りサーマルラベルプリンターとして、表示情報の膨大化に伴うラベルサイズ拡大の需要に対応。従来のラベル上下貼りを一新した「C―wrap」(コの字貼り)と、TOP&Sideの新貼り付け方式により、利便性を向上させた。

「とくにバラものや壊れやすい繊細な商品の計量におすすめ」。そう大和製衡が一押しするのは、自動排出機構付き卓上データウェイ「TSD―N3」。ベルト搬送方式を採用したことで、落下が少なく、商品が傷みにくいのが特長だ。

1分あたりの処理能力は50パック。歩留まり向上と量目不足防止を図った。アクチュエーターユニットを個別に取り外せるので、故障時のダウンタイムが少なくて済むのも売り。青果物、食品加工品、冷凍食品など、幅広く対応する。

■粉体、高粘度液の取扱容易に

取り扱いが難しい粉体や高粘度液に特化した提案も活発だ。山善が提案するのは、コンテナミキサーを使った自動化装置。着脱式粉体混合機として、食品だけでなく、医薬、化粧品も含めた「三品業界」の少量多品種生産に対応する。

1台のコンテナで、秤量、混合、運搬、保管などを兼用する。品種ごとにコンテナを運用することで、クロスコンタミネーション(交叉汚染)のリスクを減らせるというわけ。コンテナが着脱できるので自動化しやすく、生産工程に合わせたシステムに対応できるのもポイント。300㍑、500㍑、1000㍑仕様を用意している。

兵神装備が開発した「ヘイシンモーノポンプ ハイジェニックシリーズ NHL型」は、ジャムやカスタードクリームに代表される流動性の乏しい液体の移送に対応する。水状から高粘度液、固形物を含んだ液の移送や定量充填も可能。「移送液を痛めずに定量・無脈動で移送できる」という。

吐出量0.6~235リットル(毎分)まで11機種をラインナップ。シンプルな構造で部品点数を少なくしたことで、分解、組み立て、洗浄を容易にした。

「HACCP」需要に対応

衛生管理、さらに強化

改正食品衛生法の施行に伴い、すべての食品事業者を対象に義務化された「HACCP」もキーワードに挙がる。

日東工器の「サニタリーカプラ」は、工具を使わず簡単に分解できるので、洗浄も容易。「カプラならではの快適性でヘルール継手の問題を解決する」という。

プラグ・ソケットをつなぎ、「セーフティロック」をかけるだけで接続できる。Oリングは食品衛生法適合品を使用。接続時、Oリングが脱落しない構造に設計した。接続部分には、SUS316L相当のステンレス鋼を採用し、バフ研磨処理を施した。

前田シェルサービスは、食品製造工程における圧縮空気クリーン化の必要性を訴える。提案するのは、圧縮空気用抗菌・除菌フィルター「3in1マルチ・ドライフィルター スケルトン」。同軸上に3種類の特殊エレメントを内蔵したユニークな構造に加えて、透明ボディーを採用したことでエレメントの交換時期を分かりやすくした。

ろ過度は0.01ミクロン。出口オイルミストを1立方㍍あたり0.01㍉グラムに抑える。除菌性能はLRV≦9に設計した。

HACCPだけでなく、FSSC22000、JFSなど、食品安全マネジメント規格取得企業に向けた提案にも力を入れている。

蔵王産業は、(一社)総合衛生対策協会の認定製品を数多く取り揃える。HACCPの衛生管理に必要な洗浄機器のなかでも、最大15MPaの高圧洗浄機「ジェットマンシリーズ」、ドライ工場での清掃に便利な床洗浄機「スクラブメイトシリーズ」を推す。強アルカリイオン電解水生成機「ZKリミテッド」は、ノンケミカルでの雑菌対策に威力を発揮する。

ピンポイントな提案も

干芋乾燥、酷暑対策

多彩な食品製造業のなかでも、ピンポイントの業界・工程・現場に特化した製品もある。静岡製機の電気乾燥機「DSS―18」は、主に干芋乾燥に使用する。熱風温度は最高60℃。マルチ気流方式を採用しており、トレイ(左右前面の3方向から取り出し可能)ごとに送風口をつくり、乾燥ムラを抑える。

断熱材には、50ミリ厚の硬質ウレタンを使用。高い熱効率を実現した。庫内はオールステンレス製で水洗いができる。

鎌倉製作所の「COOLEX―Multi」は、焼き場、釜作業・清掃、ピッキングなど、熱源近くの酷暑作業に最適な身体冷却システム。風ではなく、衛生服の内側から冷たい水で直接冷やせるのが特徴だ。大空間や高温環境でも使える。空調に変わる新しい冷却ソリューションとして展開しているCOOLEXのなかでも、Multiは現場に合わせて配管設計するオーダータイプとなっている。

公式サイト:https://www.foomajapan.jp

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