マテハンカクメイ〜インタビュー<3> RaaSが導く物流の全体最適

2019年6月、三井物産と日本GLP が共同で設立したプラスオートメーション。ソーティングロボット「t-Sort」などの物流ロボを庫内実行システム「+Hub」と合わせてRaaS(Robotics as a Service) 方式で提供し、物流業界に新風を吹き込んでいる。山田章吾COO へのインタビューを通じ、同社が目指す「物流の全体最適化」について話を聞いた。

【画像1】タイトル画像
【画像2】プラスオートメーションが扱う「t-Sort」。架台の上をロボット台車が走行し、仕分けを行う。
【画像3】庫内実行システム「+Hub」の概念図

RaaSが導く物流の全体最適

   プラスオートメーション COO 山田 章吾 氏

●本紙:事業概要を教えてください。

◎山田:2019年に三井物産と日本GLPが共同設立した会社で、現在は豊田自動織機とも資本業務提携を結んでいます。ミッションは物流の全体最適化。ロボティクスをはじめとする最新テクノロジーを惜しみなく投じ、強く柔軟な物流インフラを構築して次世代の物流を作ることを目的としています。日本では人手不足を背景に各地で様々な企業が各社三様に物流の効率化を進めていますが、それでは昨今の物流ニーズの急激な変化に対応できません。そうした物流の個別最適化を全体最適化に導くべく設立されたのがプラスオートメーションです。

●本紙:提供するサービスの内容は。

◎山田:我々は商社でも、リース・レンタル会社でも、SIerでもなく、すべてを包含する『物流インフラサービス企業』。強く柔軟な物流インフラを構築して全体最適を実現するために、必要なサービスを一貫して手掛けます。具体的には、まずユーザーの課題をコンサルティングで把握。その解決手段としてロボットを用いた自動化システムを提供します。扱うのはZhejiang Libiao Robots 社製のロボットソーター『t―Sort』など。サブスク方式のため初期投資不要で、導入コンサルやシステム構築、メンテナンスからデータを活用した改善・活用提案までを月額費の範囲で対応します。扱うロボットは元々汎用性の高いものですが、一方で我々はそれをあらゆるユーザーの現場にフィットさせる庫内実行システム『+Hub』を自社開発。このプラットフォームにより、最短で注文の1週間後にはシステムを稼働できるほどスピーディな導入対応が可能です。

●本紙:+Hubの概要とメリットを教えてください。

◎山田:+Hubの概念を一言で表すと『あらゆる物流現場とあらゆるロボットの結節点』。我々の扱う異なるメーカーの複数のロボットを上からコントロールし、さらに周辺機器ともつながることで運用を最適化します。最大のメリットはスピードと費用。+Hubの利用料金も月額費に含まれており、日本に約6000社あると言われる倉庫事業者が同様のシステムを個別に立ち上げるより圧倒的に速く安く済みます。クラウドサービスのためアップデートで陳腐化も防げますし、現場で収集した情報をBIレポートとして可視化し、現場と経営層が一体となって物流改善を行う際のデータとして役立てることも可能。各ロボットや関連する作業者の生産性も見える化できるほか、全国で収集したトラブルデータなどをフィードバックすることで運用も日々効率化しています。

リソースを導入企業でシェア

●本紙:足元の景況感は。

◎山田:足元は非常に好調です。コロナ禍でECの注文が増えるのは明らかでも、通常のマテハン設備の導入には時間とお金が足りないという企業も多い。そうした背景で1週間で投資不要で導入できる我々のシステムが飛躍したのでしょう。現時点で我々のロボットは全国40拠点で約1500台が稼働していますが、おそらく今年度のロボット納入数は日本でもトップクラスだと思います。このまま22年度も好調な引きが続くとみていますが、とはいえ我々はこの数字に決して満足していません。我々が本当に実現したいビジョンに向け、まだまだ導入拠点数を増やす必要があります。

●本紙:実現したいビジョンとは。 

◎山田:我々のユーザーでは現場レイアウトこそ違うものの、同じロボットが+Hubという共通のプラットフォームの下で稼働しています。そうすると導入企業同士で業務の繁閑に応じたロボットの融通が可能になるわけですが、実際にユーザー同士で既にロボットの融通、言い換えればシェアリングが始まっています。こうした共同体を通じ、Data Driven で次世代の物流を実現するのが我々の目標です。今は+Hubを通じて日本全国の40拠点がつながっている中央集権的な構造ですが、各地にこうした+Hubを中心としたネットワークが分散し、自己増殖的に増えていく状況を作りたい。分散した共同体がそれぞれ最適化を図ることで、日本全体の物流最適化につながるのではないかと考えています。

●本紙:ロボットのシェアリング以外にどういったメリットを見据えていますか。

◎山田:例えば今期すでに始めているのが、ロボットの融通を越えて現場のキャパシティ自体を融通し合う取り組み。繁閑に合わせてロボットを送るのではなく、業務が忙しい企業が比較的余裕のある企業に仕分け業務自体を委託するという発想です。これは同じロボットが+Hubという共通プラットフォームでつながっているから可能なこと。また物流の逼迫・複雑要因となる返品物流への対応も視野に入れており、返品された商品を遠方の発送元に送り返さず、我々のシステムを導入している近くの企業に送って再仕分けを行うという取り組みを始めています。導入企業が拡大するほどこうした取り組みでユーザーが享受できるメリットは加速度的に大きくなりますから、我々としても今後3年をめどに、パートナー企業との協業による導入拠点数の大幅拡大と導入後のカスタマーサクセス領域強化による次世代物流の土壌づくりを行っていきます。

(日本物流新聞 2022年2月25日号掲載)

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