EVめぐる各社の方針、明らかに

2021年は自動車の電動化をめぐる動向がいっそう激化した年だった。先行する中国や欧州の動向が注目を集める一方、日本でも電動車に関連する動きが一段と活発化。12月にはトヨタ自動車が30年までにEV(電気自動車)の世界販売で年350万台を目指すことを表明し、市場に驚きをもたらした。電動化をめぐる各社の具体的な目標数字が見える一方で、22年1月4日にはソニーがEV市場への参入を発表するなど第三極も登場。競争はより激しさを増している。

【画像1】三菱自動車が東京オートサロン2022で披露した新型軽EVのコンセプトカー。22年度初頭の発売予定で、こうした軽のEVにも期待がかかる
【画像2】各社の電動車戦略

トヨタは30車種投入、ソニーの参入も

「350万台はとてつもない数だと認識いただきたい」。21年12月14日に都内で会見を行ったトヨタ自動車の豊田章男社長は、そう力を込めた。同社はこの日、30年までにEVの年間世界販売台数350万台を目指すことを表明(20年度の同社の世界販売台数は約992万台)。30年までに30車種のEVを展開するとして、一部で懐疑的な見方もあったEVへの本気度を改めて示した形だ。

この数字に向け、同社は30年までに約4兆円をEVに投資。HEV(ハイブリッド自動車)、PHEV(プラグインハイブリッドカー)、FCV(燃料電池自動車)でも4兆円規模の投資を見込んでおり、電動車全体で8兆円規模の投資を行う構えだ。電動化関連ではフォルクスワーゲンが26年までにEVを含む次世代技術に約11.4兆円、ゼネラル・モーターズが25年までに約3.8兆円、国内では日産自動車が今後5年間で2兆円の投資を表明している。投資期間も違うため単純比較はできないものの、トヨタ自動車がEVに消極的という見方はおおよそ払拭されたとみていいだろう。

21年はこうした電動化への取り組み姿勢を、各社がより明確に示した年でもある。本田技研工業は4月に、先進国でのEV・FCVの販売比率を30年に40%、35年に80%に、40年にはグローバルで100%に引き上げることを表明。日本では30年までに、販売比率をHVも含め100%電動車とすることを目指すとした。

そうしたなかで24年には、北米向けにEV量販モデルの第1弾としてHondaブランドのSUV「プロローグ」の発売を予定。中国市場でも、中国初のHondaブランドEVとなる「e:N」シリーズを今後5年間で10車種発売する計画で、中国からの輸出も視野に展開を進めている。22年1月5日には湖北省武漢市にEV専用の新工場建設も発表。生産能力は12万台/年となる見込みで、24年の稼働開始を目指し着々と歩みを進める。

一方、いち早くEVの量産に漕ぎつけていた日産自動車も電動化への道筋を表明。11月29日の会見で、30年までに15車種のEVを含む23車種の電動車を投入し、インフィニティブランドも含めた電動車の販売比率を50%以上に拡大すると明らかにした。

テスラや小鵬汽車が伸長

電動化を先導する欧米でも競争は激化しているが、強さを見せたのはやはりテスラだった。1月2日に発表された21年の世界販売(納車)台数は約94万台。前年実績が約50万台だったことを踏まえると、1年間でおよそ1.9倍に増えた計算となる。成長に伴い株価も上昇。21年10月には時価総額が1兆ドル(約114兆円)の大台を突破した。

一方、中国でも21年のEVシフトは鮮明だった。中国自動車工業協会が発表した21年の新車販売台数(約2627万台)のうち、EVなどの新エネルギー車が占める割合は13.4%(約352万台)に到達。前年の5.4%から2.6倍と一気に拡大を遂げた。「御三家」と言われる蔚来汽車、小鵬汽車、理想汽車の新興EV3社がそれぞれ年間9万台超を販売(納車)するなど勢いを見せるが、なかでも小鵬汽車は前年比約3.6倍の販売台数を達成するなど頭1つ抜けた成長を続ける。

とはいえ、こうした諸国と日本国内を十把一絡げに考えるのは難しい。国内におけるインフラや電力事情など、EVの普及に向け考慮すべき諸課題が残るからだ。こうした各国の状況を踏まえ、トヨタ自動車も「多様化された市場には多様なソリューションが必要」としてEV以外の電動車も含めたフルラインアップを揃え、各地の事情や利便性に応じて提供する「全方位戦略」を堅持。EV一辺倒でなく選択の幅を広げている。

またEVの普及に向け課題となるのが価格面だが、ダイハツ工業とスズキはそれぞれ25年までに軽自動車EVの投入を予定。ともに補助金を活用した実質価格で100万円台を目指しており、EVの門戸拡大に期待がかかる。動力面でも日産自動車が全固体電池「ASSB」の自社開発に注力しており、28年度までにASSBを搭載したEVの市場投入を目指すとする。これにより28年には電池コストを75ドル/kWh、30年には65ドル/kWhまで下げる計画で、こうした動力面での技術革新にも注目したい。

(日本物流新聞 2022年1月25日号より)

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