後工程効率化

モノづくりのQCDを左右する後工程から「研削研磨・洗浄・バリ取り」にスポットを当てた。加工技術が進化しても、後工程がボトルネックになれば、全体的な生産性向上につながらないからだ。部品の数、サイズ、形状、素材などによって、効率化につながる最適解が異なるものの、関連ツールは変えるだけで作業効率が改善するほどの可能性を秘めている。

【画像1】ムラキはインフィニティソリューションズの協力を得て「MPシリーズ」の実演を撮影した
【画像2】今年7月にレヂトンが発売したオフセット型砥石「ハイパーGS」(=写真左)と「ハイパーGT」
【画像3】バリ取りと表面処理が同時にできるのが富士機工の「ツインバリトール」

研削研磨

日本製砥石で時短狙う

研削・研磨工程に不可欠な砥石。一時期こそ新興国の安価な製品に押されていたものの、「品質」という優位性を武器に、数年前から日本製回帰の動きが続いている。番手(粒度)の選定と作業者の技量によって仕上がり具合が変わるため、砥石自体の性能を上げることで、経験に頼らず、品質の安定化と作業時間の短縮を狙う動きが顕著だ。

研磨砥粒で最も硬いセラミックを使うことで被削材への食いつきをよくし、作業性を高める方法もそう。製法・砥粒は異なるものの、砥石の持ち味である刃先が減っても次々に新しい刃が出てくる自生作用を活かし、鋭い砥粒形状で、難削材に相当する高硬度スチールの精密研削から熱延ロールの修正加工まで対応する砥石もある。

研削力を高めることでワークへの熱の影響を減らし、焼けや反りを抑える提案も目立つ。機械加工による「磨きレス」で人手による品質のバラつきをなくす動きはあるものの、仕上げの要諦である砥石需要の伸び代はなくならない。

金型業界では職人が手作業で磨いたり削ったりしながら寸法調整し、部品同士がしっくりはまるポイントを探る方法が主流。砥石業界でも、自動化の難しい少量多品種対応、高い精度が求められる金型の仕上げ加工のようなケースが生き残るとの見方もある。

重研削から仕上げまで

「切断だけでなく、研削の国内市場においても存在感を出していきたい」

レヂトンの東八司マーケティング部長は意気込みを語った。今年7月に発売したオフセット型砥石「ハイパーGS」「ハイパーGT」は、湾曲形状にすることで接触面積を広げ、作業効率の向上を狙っているからだ。GSは一般鋼・ステンレス両用の弾性フレキシブル砥石、GTはハードな作業に最適な重研削砥石として提案する。

作業負担を減らす砥粒配合に加えて、研削面にも独自の工夫を凝らした。「ウェーブライン」と呼ばれる溝だ。従来製品のように碁盤の目状を入れた場合、一定方向に傷が入りやすい。その点を解決するために、溝をウェーブ状にすることで、傷をぼかす。後工程にあたる傷の目を潰していく手間も減るというわけだ。

「溝によって形成されたブロック形状や配置も、一見でたらめなように見えて意味がある。溝の回転方向も、外周に対して、右回りでも、左回りでもない『S字』にした。独自の研削面として意匠登録を出願しているところ」(東部長)

ソフトなタッチ感で使用できるGSは、スパッタ取り、仕上げ、面取りなどを想定して開発した。「この砥石だけで、鉄にも、ステンレスにも使える」という。粒度を#36~#120まで5種類展開していることから、軽研削から重研削まで対応する汎用性を売りにする。

GTは、一般鋼をメインターゲットとした「重研削の決定版」としてアピールする。必然的に総研削量が多くなることから、取り替え頻度を減らすために、タフさにこだわった。SS400を加工したとき、砥石1枚を使いきるまでの総研削量は「他社製品に比べて最高で1・6倍以上になった」という。

東部長はオフセット型砥石の新製品提案による相乗効果を期待する。

「当社が掲げる『お客様第一主義』に徹するには、強みである切断だけを見ているわけにはいかない。切断の現場で研削砥石の需要が少なからず存在しているように、その逆もある。GSとGTを提案することで、ニーズを吸い上げていきたい。試しに味見していただければ納得する自信がある」

今後、YouTubeにも動画を公開する予定だそうで、「メールマガジンを中心に周知活用を強めていく」考えだ。

バリ取り

自動化需要に応える

人海戦術で対応してきたバリ取りを自動化する動きが強まっている。しかし、やり方を間違えば新たなバリを生み出すことにもなりかねず、検討には慎重を要する。難しい選択が迫られるなかで、ムラキが一石を投じた。マシニングセンタ、産業用ロボット向けとして、バリ取りに特化した超硬バーをシリーズ化したのだ。

刃径公差±0・025㍉の精度に仕上げたことで、バリの取り残しを少なくし、加工時の安定性を高めた。技術部の小山真部長は「超硬バーの標準品で、この精度はない」としたうえで、交換するごとに除去量の変化が少ない点もメリットに挙げた。

「MPシリーズ」には、マシンとハイパフォーマンスの意味を込めたそう。大きな面取りに使用する円柱タイプ、ワークとの干渉を防ぐために45度の円錐形に設計されたタイプ、背面側の裏バリに最適な球形タイプなど、6種類を展開している。いずれも、シングルカットのねじれ刃「スパイラルカット」を採用し、良好な仕上げ面を重視した。

「ワークに応じて、刃形状、すくい角、逃げ角、刃数などのバランスを考慮した特注品にも、適宜対応している。精細な感覚で無意識に力加減を調整できる『ヒト』に比べ、機械は一定の力と距離で動き、超硬バーの特性がそのまま仕上り面に反映される。バリ取りにとって欠点の機械特性を補正するフローティングホルダーにも、十分な効果を発揮するだろう」

約50年前から超硬バーを手がけるムラキが、バリ取りの自動化に特化した工具を投入した意味について、小山部長は適切な刃物選定と加工条件向上の重要性を挙げた。

「もともと超硬バーは手作業用工具であり、自動機には最適化されていない。使用環境に適合し、結果が良ければ問題はないが、改善の余地がある状況で使用されているケースも目立つ。適切な刃形状や切削条件を適用すれば、より良い仕上り面や、工具の長寿命化が達成できることが多い。こういった現状を打破するために、本シリーズを立ち上げた」

一筋縄ではいかない自動化にあたって、システムインテグレータとの連携にも意欲を示す。小山部長は「自動化需要の潮目が変わってきた。今秋にはさらにアイテム点数を増やし、周知活動も含めて積極的に問い合わせに対応していく」と話していた。

表面処理も同時に

板金加工に特化した富士機工の製品ラインナップのなかでも、バリ取りと表面処理などの仕上げが同時にできるのが「ツインバリトール」だ。

レーザやタレットパンチプレスで加工された材料を想定して開発した平面専用機で、2本のバフをセットできる。1本目は硬いバフで荒削りし、2本目は綿の細かいバフで表面を整えるといったように、ワークの材質に応じた組み合わせが可能だ。バリ取りだけでなく、材料のキズ隠し、仕上げ加工で使用するケースも多いという。

粉塵や発熱のない湿式加工式を採用。ワークとバフの接触部に発生する摩擦熱を抑え、切削力を落とさずにバリを除去する。さらに、熱によるワークの反りを低減できるうえ、バリ取りで発生する粉塵が舞わないため、作業環境をクリーンな状態に保てる点も特長に挙げている。

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