物流分野で進むロボット・デジタル活用

― 6万人来場の国際物流総合展から ―
物流分野での自動化・省人化提案が盛んだ。2022年9月16日までの4日間、4年ぶりに東京ビッグサイトの東棟全館で開かれた「国際物流総合展2022」(主催=〈公社〉日本ロジスティクスシステム協会と〈一社〉日本能率協会、他関連5団体)に最新の物流ソリューションが集まった(過去最多の521社の出展に6万547人〈速報値〉が来場)。

【画像1】タイトルイメージ(会場の様子)
【画像2】オークラ輸送機・オカムラ
【画像3】寺岡精工
【画像4】花岡車輌
【画像5】をくだ屋技研・大阪タイユー・山善

会場の様子

2022年の多くの製造業関連展覧会で注目を集めているのが省力・省人化提案だろう。本展でもそれは変わりなく、特にまだまだ人に頼ることの多い後工程の負担軽減につながる提案が多数見られた。倉庫内全体を最適化できる3Dピッキングシステムなどを用いたGTP(Goods To Person、定点ピッキング)提案では、海外メーカーの製品(フランス:EXOTEC「Skypod」やノルウェー:AutoStore「AutoStore」、アメリカのAlert Innovation「ALPHABOT」、中国:Geek+「Pop Pick」など)が目立つ。特に、会場の各所で見られたのがエクゾテックの「Skypod」だろう。自社ブースだけでなく、IHIやオークラ輸送機ブースでも実機展示が行われた。

オークラ輸送機は「歩かない、持たない、探さない」をテーマにトータルで魅せた

そんなSkypodの実機をブース正面に出展したオークラ輸送機は「歩かない、持たない、探さない」をテーマにAIやロボティクスなど先進技術を活用したマテハンシステムを提案。会場では搬送ロボット(AGV)と「表示機&LEDシステム」を組み合わせた歩行レスピッキングシステムの体験デモを行った。AGVでピッキングステーションへと商品棚を運び、LEDのスポットライトを商品棚の取り出し間口に照射することで、作業者はその場を動くことなく確実に商品をピックできる。小型スキャナーを指に取付けることで、両手での作業を可能にする。他にもロボットハンドにビジョンを付けたデパレタイズロボなどの内製機器と絡めた総合的なソリューションを提案した。

超高密度保管システム「AutoStore」を軸に保管から入出庫ピッキング、搬送システムの連動デモを行ったのがオカムラだ。従来のコンテナ(高さ330mmと220mm)よりも高さのあるコンテナ(425mm)にも対応可能なAutoStoreの機体「R5+」を初披露した。加えて、搬送デモを行った9月に正式発売となったカゴ車搬送向け自律移動ロボット「ORV」は牽引ではないことが特長で、カゴ車の片側を持ち上げてがっちりと固定することによって、動作時のブレが少なく狭い通路やその場の旋回などに向く。SLAMとAIを活用しガイドレスで移動ができる。

オカムラはAutoStoreとともにカゴ車をコンパクトに運べる自律移動ロボ「ORV」を出展




カートや音声を用いたピッキング

こうしたシステムは大規模な設備投資が必要なことが多く、導入が難しい企業も少なくない。そうした状況でも省力・省人化は待ったなしだ。現存のシステムを稼動させながらも一部を見直すことで、作業者をサポートするものもある。

寺岡精工は得意の秤の技術を用いて、トータルピッキング(種まき方式)とオーダーピッキング(摘み取り方式)双方に対して、ピッキングカートを活用したシステムを提案した。初披露となった「重量検品アソートシステム」は重量減算式ピッキングカートとシャッターアソートシステム(SAS)を組み合わせたもの。種まきエリアにカートを移動させるとRFIDと連携したSASのシャッターが必要な部分のみが開くため入れ違いを防止。商品投入の際にはカートに内蔵された計量器を使って数量チェックを行うため、検品作業を省力化できる。摘み取り方式で提案された自律走行式のピッキングカート(AMR)は作業者の移動距離を短くするだけでなく、計量器を内蔵しているため前述のシステム同様に検品作業の省力化につながる。

寺岡精工は得意の秤の技術を用いてピッキングシステムを提案

画面確認が省ける音声認識技術は発話しなくてはならないことなどを理由に、あまり現場に広まらなかった。そんな音声技術を逆転の発想で活用しているのが、サトーの「VoiSol Smart」だ。スマートフォンなどにシステムを入れると、ピック箇所を音声ガイダンスで伝えてくれる。「慣れた作業者だと我々では理解できない速さでも聞き取れてしまうので、画面を見る手間を省くだけでなく、スムースなピッキングが可能となります」と同社の担当者は話す。聞き逃した時は端末の画面にも同じ情報が記載されているため安心だ。他にも9月12日に発売されたモバイルラベルプリンタ「lapin PW4NX」も実機が展示された。

現場視点のIoTで資材管理

原点であるモノづくりを生かして、現場視点の資材管理ソフトを開発する企業も見られた。

DANDYなどの台車で名のある花岡車輌は11月にリリース予定のMAP型情報一括管理クラウドサービス「ARU」を提案した。空港内のカート管理の問題から端を発し、位置情報だけでなく、ものや人の情報を統合的に管理できるシステムとなっている。空港であればカートの保守や広告の管理、職員の言語ステータスごとの最適な人員配置などができ、製造業であれば固定資産の棚卸しやメンテナンス履歴などを管理できる。これまでも同様の屋内の位置情報管理技術はあったがビーコンの電池に課題があったという。セイコーウオッチとアライアンスを組むことで、60日間無充電で使用できる独自のバッテリー式ソーラービーコンを開発した。

花岡車輌は独自開発のソーラービーコンで位置情報管理システムを提案

プラスチックパレット製造大手の三甲も300種類以上の物流資材を展示すると共に、同社のグループ会社の三甲リース(サンコーパレットレンタル)が提供するクラウド版物流資材管理システム「TRAX GO」の提案に力を入れた。近年、利用が進んでいるRFIDタグやQRコードを物流資材に付加するだけで、資材の回収率や在庫管理、滞留日数などの個体情報を一元管理可能。近年注目を集めている2024年問題に対し、一貫パレチゼーションが一つの解となるが、それを行うためには個体ごとのデータを取得・管理することが重要となる。本システムは同社のパレットレンタルシステムでも使用されているため、日々改善が進み使いやすくなっているとのこと。

国内製造現場に特化した提案も

国内の製造現場特有の課題に対する自動化提案も多数見られた。をくだ屋技研はタナカエンジニアリングとLINXとともに開発したハンドリフト型AMR「D-PORTER」を参考出展した(来春販売予定)。ハンドリフトと同様、上下の移動はできないがコンパクトさやタフさ(1tまで対応)そのままであるため、パレットの水平移動の自動化に最適だ。最大の特長はパレットに爪を差込む際に爪先にある車輪を格納するため、何も載せていないような軽いパレットも運ぶことができる。

をくだ屋技研はハンドリフトの自動化につながるAMR「D-PORTER」を実演




効率化のためだけでなく、高齢者や女性が現場に進出していることも省力化をしなければならない理由の一つだ。大阪タイユーは動力源を用いた省力化につながる製品を多数出展した。中でも初出展の10月発売予定のトラック荷役用リフター「AGESAGATE」はプラットフォームがない場所やフォークリフトが入り込めない場所、カゴ台車などフォークリフトでの搬送が難しいものの荷運びにも役立つ。

大阪タイユーの10月発売のトラック荷役用リフター「AGESAGETE」




山善は「User Friendly ~働く人に優しい現場づくり~」をテーマに出展。ロボット×搬送ゾーンではパレタイザロボット「YZロボットPシリーズ」によるパレットへの段ボールの組み付けを実演した。周辺機器も含めパッケージ化することで価格を抑えた。自動搬送ソリューションゾーンではeve autonomyのゴルフカートをベースとした自動搬送EV「eve auto」を提案。屋外でも使用できるため、部材の建屋間搬送の自動化に貢献する。緊急停止した際の再起動も遠隔で行えるようになり、より使いやすくなっている。

山善は省スペースでも導入可能なパレタイズロボ「YZロボットPシリーズ」を提案

(日本物流新聞 2022年9月25日号掲載)

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