工作機械でもサブスク

購入、レンタル、リースに続く、第4の選択肢が工作機械業界にも出てきた。中村留精密工業が2020年9月に開始したサブスクリプションサービス「ストライク」だ。毎月一定額支払うことで複合加工機が使えるだけに留まらない。運送・据付から保守点検、ソフトのアップグレード、さらに動産保険まで含まれている。

【画像1】複合加工機など、すべての標準仕様機を対象とした

中村留、複合加工機のハードル下げる

購入、レンタル、リースに続く、第4の選択肢が工作機械業界にも出てきた。中村留精密工業が2020年9月に開始したサブスクリプションサービス「ストライク」だ。毎月一定額支払うことで複合加工機が使えるだけに留まらない。運送・据付から保守点検、ソフトのアップグレード、さらに動産保険まで含まれている。

コロナ禍で設備投資に中々踏み切れない現状を考慮して開始した。中村匠吾専務は「お客様にとって、工作機械の導入は一世一代の投資。償却するまでの仕事の先行きが見えない不安もある。決断のハードルを少しでも下げることで、設備導入をもっと身近に感じていただければ」と話す。

定額(36回・60回払い)にすることで、まとまった資金を工面する必要がなくなり、コストに対する心理的な不安を減らせる。ちなみにサービス利用中は固定資産税の支払いは不要だ。もう一つのメリットとして、予想される生産量に合わせて保有台数を調整しやすい点も挙げる。1年ごとに、買取り、返却、サブスク更新を選択できるようにした。中途解約した場合、早期終了に伴う解約清算金が発生する。

「基本的な期間は、3年、5年としているものの、状況に合わせて最短4カ月にしたこともある。直近の傾向だけ見れば、短期間の申し込みが増えている。そのなかにはほしい機械がすぐに手に入らない間の『つなぎ』として活用されるケースもあった」(中村専務)

標準仕様機をすべて対象とした。中村留精密工業の強みである複合加工機を入れたのは、興味がありながら、操作に対する先入観から導入に踏み切れなかった企業が試しやすくする狙いも。サブスクをきっかけに試験的に導入した後、購入するケースも相次いでいるという。

あらゆる悩みに応える

サービス名の「ストライク」には、顧客が抱える悩みに真正面から応えるとの意味を込めた。「常に最新の機能がほしい」「設備の故障で損するのが怖い」「保険の契約や各種手続きに時間がかかって手が回らない」といった声に応える。

本来有償で対応しているソフトウェアのアップグレードをメニューに組み入れた。プログラム作成支援「3D Smart Pro AI」に代表される大小合わせて約100種類のソフトが対象。機種やNC装置によって使える機能が異なるものの、「ソフトを目当てに機械を購入するお客様もいる」現状から考えて、無償のアップグレードは十分な利点といえる。

「アップグレード対応は不定期ながら、年間6~10種類のソフトが進化している。アップデートの頻度は機種ごとのばらつきがあるので、そこはお客様に事前に確認いただいている」

故障の有無に関係なく、1年ごとに無償設備診断する仕組みも整えた。保守点検サービス(調整・修理・消耗品交換は有償)として静的精度確認を実施。メーカーによる動作保証は「安心感にもつながっている」という。

手間のかかる事務処理もパッケージ化した。固定資産税の支払い、減価償却処理などを不要にしたうえ、偶発的な事故や自然災害などによる損失を担保してくれる動産保険も入れている。

「お客様によって、悩みは異なる。あらゆる悩みに対応できるようにすることで、お客様だけでなく、販売店様にとっても有益な選択肢として提案いただけるはず」

何も変わらない

「サブスク」と言っても、販売の方法やルートは従来どおり。中村専務は「何も変わらない」と説明する。

「『ストライク』をきっかけに当社を知っていただき、仕組みやメリットを案内しているうちに盛り上がって、最終的に購入いただいたこともある。コロナ禍による投資熱の冷え込みがサービス開始の背中を後押ししたものの、本来の目的は新たな選択肢を増やす点にある」

開始から1年が経過し、申し込み件数も少しずつ増えているそう。機械の返却率について「現状はほとんど戻ってくる機械がない状態。そのまま売れるケースが多い」と分析する。返却された機械は短納期対応の中古機としてショールームなどに展示する計画だ。

対象エリアは日本国内に当面留め、さらなるサービス充実を進める考え。工程集約とともにニーズが高まっている自動化のサブスク対応について聞いたところ、「ローダーやロボットセルとの連携は、そもそも大量生産を想定しているため考えていない」とのことだった。

中堅・中小企業を想定して開始したサービスだったが、多品種少量生産や試作向けに「大手企業からの引き合いも増えている」という。

中村専務は「工作機械は需要と供給の波が大きい。ほしいときにその変動に柔軟に応えられるサービスとして、『ストライク』の認知度を高めていきたい」との意気込みを示した。

(日本物流新聞2022年1月25日号より)

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